2009年3月24日火曜日

卒園

 
 終わりの日って、突然来るんだねえ。
 先日、息子が幼稚園を卒園した。

 卒園前の最後の保育の日に、
 いつものように園まで送って行き、
 保育室のドアを開ける彼に向かって、
 「いってらっしゃい。」
 と声をかけながら、
 「この日常は、今日で最後なんだなあ」
 と強烈に実感してしまい、じんわりと目頭が熱くなった。

 その日が来るのは前々から分かっているのに、
 実際にその日が来るまでは日常が続くわけで、
 やはり、終わりの日は、突然来る。

 朝起きて、お弁当を作って、朝ご飯を一緒に食べて、
 朝のいろんな表情の井の頭公園を自転車で走り抜けて園に向かう。
 この当たり前になじんだ風景が、
 ある日パタンと音をたてて閉じられるのだ。
 情け容赦なく。

 大人になると、そういう境い目、みたいなものが曖昧になり、
 始まりも終わりも重なったりしていて、
 その パタン、と次のページに行く感覚に疎くなってしまっていたので、
 少し、たじろいだ。

 これが小学校の卒業式ともなると、
 どれだけ心が揺さぶられるんだろう。

 
 これまでのわたしの人生にもいくつかの章があり、
 その章が終わる度に、
 パタン、
 と次のページへ、
 時には泣きながら、振り返りながら進んできた。
 前のページに戻ることはないことを知っているから、
 きっと淋しい気持ちになるんだろうな。
 その先が楽しみな気持ちと同じくらいに。

 そうやってみんな、いろんな思いをしながら、
 自分だけの大切な書物を作っていくのだろう。

 彼がこれから創っていく新しい章が、
 美しく、愛あふれるものでありますように。
 

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